「さよならは言わないで」 R・ゴダード1920年代、毒殺事件の犯人として、はからずも新聞で名前を見た女性。その女性は、主人公がかつて永遠の愛を誓うも、自分の将来と名声のために裏切った女性であった。 当時のイギリスではまだ絞首刑が存在しており、この女性の有罪が裁判で決まれば、絞首刑となってしまう。 自分自身の奥深くに、その女性を裏切った罪悪感にさいなまれた十数年がある。 しかし、だからといってその女性がそのような毒殺事件を引き起こすことは有り得ないと考えた主人公は、一人、事件の解明に乗り出す。 その解明の道のりは、自分が彼女を捨ててからの彼女の道のりを辿ることであった・・・ 作者のロバート・ゴダードについて、背景は詳しくは知らないが、いつもイギリスの1920~30年頃の各地をモチーフに風景や事象を細やかに彩りながら、良質なサスペンスを生産しているという印象がある。 この「さよならは言わないで」は最初、英語の原版を読んだ。 アメリカ出張前にヒースロー空港で何気なく買って、機内で読み始め、アメリカに着いて仕事をしていた時間以外、すべてホテルで読みきってしまった。 衝撃の結末でしばらく感想を述べることもできなくなった。 その後、小説で使われている美しい言葉の数々が、日本語ではどのように翻訳されているのか知りたくなり、日本の文庫版もほどなくして買って読んだ。 ジャンル別一覧
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